以下に本日座間味ダイビング協会理事会に回したメールをそのまま出します。
やるべきなのは「オニヒトデ駆除」というよりも「サンゴ礁保全」でしょう
が、思い違いをしやすいです。以下に琉大の山口先生のHPから引用しま
す。各自、自分のアタマの中だけで考えてモノを言うと、まとまる話もまとまら
なくなります(過去の大発生やその失敗を知らない人たちも多いことですし)。
普段、サンゴ礁にアタリマエに接しているので近視眼的になりやすいわけで
すね。私も自戒の意味もこめて添付してみました。
*オニヒトデとはどのように付き合うべきか*
* * オニヒトデによるサンゴの食害は一時的な問題である(正常な環境で
は、サンゴ群集は自然に回復・復活するはずである)。*
* * サンゴ礁景観を復活させるためには、減少したサンゴを人為的に増や
すことを考えるよりも、サンゴの生育環境を健全な状態に保つことが基本
である。*
* * 沖縄・奄美では、オニヒトデを取り除くだけで、「サンゴ群集の作る
美しい海中景観を守る」という目的を忘れた「駆除事業」が、実際には手
遅れになってから「間引き」が、行われただけであった。駆除数だけが
「実績」として記録されるのは全くばかげている。*
* * そもそも駆除をするべきかどうか、やるならどこを選んでどのような
規模でなすべきか、という出発点で必要な情報収集と戦略についてほとん
ど何も検討されてこなかった。関係した事業担当責任者の認識不足が問題
である。(コメント <../Monologue/FightUnknown.htm>)*
* * これまでの駆除事業の報告では、オニヒトデの駆除数とそのための経
費が記載されているが、肝心のサンゴがどうなっていたのかは記載されて
いない。事業の事後評価もされていないで、ほとんどの場合、潜水漁業者
に作業の丸投げをしただけのやりっぱなしであった。*
* * 沖縄県内全域の沿岸で1970年代から1980年代にかけてオニヒトデ駆除
事業が継続され、累計で6億円以上の経費が使われ、1000万個体以上のオ
ニヒトデが駆除されたと報告された。*
* * 1989 -1992年に環境庁による第4回自然環境保全基礎調査の一環として
「海域生物環境調査」でサンゴ礁の実態調査が実施されたが、その結果、
沖縄県ではサンゴの被覆率が50%を越えた場所はほとんど見られず、大部
分で被度5%以下の丸坊主状態であった。*
* * オニヒトデの根絶は、その生態的な特性(海流による幼生の広域分
散)から見て無理な相談である。*
* * 特定の場所でサンゴ群集の海中景観を保全するためには、オニヒトデ
の生息密度(摂食速度)とサンゴの生長(回復力)のバランスを計算し
て、許容密度を設定し、それ以上にオニヒトデが増えないように抑えるべ
きである(そのための基礎データはすでにある)。*
以下のURLはとても面白いお話てんこもりで、オニヒトデのハナシも出てきま
す。ぜひ参考にしてください。
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/Monologue/MYMYMonologue.htm
という文章を、座間味ダイビング協会理事各位あてに送りました。さあ、みんなどうすっぺか。